ゴルフにはさまざまなルールがあり、初心者の方はルールを覚えることから始まります。どんなにゴルフスキルが高くてもルールを熟知していないとペナルティーをとられてスコアを落としてしまうこともあります。
また、ゴルフルールは時代によって変わっていきます。最近では2019年にゴルフの新ルールが35年ぶりに改正されました。これまでゴルフをやっていた方はもちろん、これからゴルフを始める方もこの新ルールを頭に入れておく必要があります。
そこで、今回は2019年に改正されたゴルフの新ルールを解説していきます。
ゴルフコースの名称変更
これまでゴルフコース内のエリアはティーグラウンド、スルーザグリーン、バンカー、ウォータハザード、パッティンググリーンの5つで成り立っていました。しかし、新ルールでは【ティーイングエリア、バンカー、ペナルティーエリア、パッティンググリーン、ジェネラルエリア】の5つに変更されました。
ティーイングエリアとはこれまでティーグラウンドと呼ばれていたエリアです。プレーヤーがプレーをするホールをスタートする時にはこのエリア内でプレーを始めなければなりません。
ペナルティーエリアとは、これまでウォータハザードと呼ばれていたエリアです。コース内全ての水域がペナルティーエリアになります。全ての水域となっていますが、海、川、池、溝、排水溝などで水の有無は関係ありません。その他、崖、密集したブッシュなどもペナルティーエリアになる場合もあります。
ジェネラルエリアはこれまでスルーザグリーンと呼ばれていたエリアです。ティーイングエリア、ペナルティーエリア、バンカー、パッティンググリーンの4つ以外のエリアのことを指します。このエリアにある全ての種類の地面、付着している木、草なども含みます。バンカー、パッティンググリーンについては名称の変更はなく、これまでと変わりません。
プレーに関するルール変更点
今回のルール変更では基本的なプレーに関してのルールも変更されています。次はプレーに関するルール変更点について解説していきます。
ボールの捜索時間は5分から3分へ短縮
これまでボール探しの時間が5分でしたが、新ルールでは3分に短縮されました。3分以内にボールが見つからなかった場合には紛失球(ロストボール)となってしまいます。
2019年3月に行なわれた女子ゴルフ・ダイキンオーキッドレディスの第2ラウンドでは、ボール探しの時間が3分を超えて、新ルールを違反したということでツアー初の失格者が出ています。少しでも紛失球(ロストボール)の可能性がある場合には、暫定球を打っておいた方が良いでしょう。
ペナルティーエリアではソールしてもOK
これまで赤杭内であるレッドペナルティーエリアにボールが入ってしまった場合には1打罰でドロップする、もしくは打てる場合にはそのまま打っても良いのですがクラブをソールしてしまった場合には2打罰となっていました。しかし、新ルールではレッドペナルティーエリアであってもクラブをソールしても罰はつきません。
さらに、これまではレッドペナルティーエリアではルースインペディメント(枯れ葉などの落ちている自然物)を取り除く行為も2打罰の対象となっていましたが、新ルールではこの行為にも罰がつかないことになりました。
ドロップは膝の高さから行う
これまでのルールではドロップする場合には腕を真っ直ぐと伸ばして肩の高さからドロップするのが正しいドロップ方法でした。しかし、新ルールでは膝の高さからドロップするという変更が行なわれました。これはドロップした後にボールが転がりすぎてしまった場合には、再びドロップする必要があるため、プレー時間がかかってしまうということがありました。
この再ドロップを減らすことでプレー時間を短縮することを目的に膝の高さからのドロップというルールに変更されたのです。ドロップする機会があった時には注意しましょう。
2度打ち・自打球は無罰
これまでルールでは2度打、自打球には偶然であっても1打罰の対象となっていました。2度打とは1ストローク内でボールを2度打ってしまうことです。自打球とは打ったボールが自分自身や持ち物、キャディー、カートなどに当たってしまうことを指します。
新ルールでは2度打、自打球に関しては無罰でプレーを続けられるということになりました。2度打、自打球をしてしまった場合には、ボールが止まった位置から無罰で次のプレーを開始しましょう。元の位置に戻して打ち直しと勘違いしている方も多いので、2度打、自打球の対処には注意しましょう。
バンカー内のルール変更点
バンカー内でのプレーについてもルールが変更されています。次はバンカー内のルール変更点について解説していきます。
バンカー内のルースインペディメントは取り除いてもOK
これまでバンカー内にボールが止まり、ボール周辺に枯れ葉や小石などのルースインペディメントがあっても触れることも動かすこともできませんでした。もしも、これに違反した場合には2打罰というペナルティーが設定されていました。
しかし、新ルールではバンカー内のルースインペディメントは無罰で取り除くことが可能になりました。これからはバンカー内にボールが入ってしまった場合には、ルースインペディメントを取り除いて万全の態勢でバンカーショットに臨みましょう。
2打罰でバンカーから脱出できる
これまでのルールにはないバンカー内のルールとして救済ルールが新たにできました。バンカーの淵など打てない場合には救済を受ける宣言をした後に2打罰でバンカー後方にボールを出して打つことが可能になりました。
バンカーが苦手な方やバンカー脱出することが困難に位置にボールが落ちてしまった場合には、素直に2打罰で救済を受けるというのも選択肢の1つとなってくるでしょう。ただし、バンカー後方にボールを置き直すので、バンカー越えのショットになる点は注意が必要です。
グリーンでのルール変更点
グリーン内でのルール変更も行なわれています。次はグリーン内でのルール変更点について解説していきます。
旗竿を抜かずにパッティングでき、ピンに当たってもペナルティーなし
これまでのルールではパッティングをする時にはピンを抜かなければなりませんでした。ロングパットの時にピンを抜かずにプレーしているプロを見たことがある方も多いかと思います。
カップが見えない場合にはキャディーや同伴者にピンを抜いてもらいボールがピンに当たらないような処置が必要でした。ピンをそのままにしておき、ピンに当たってカップインした場合には2打罰というペナルティーが加えられてしまうのが、これまでのルールです。
新ルールではピンを抜かずにパッティングすることが可能になり、ピンに当たってカップインしてもペナルティーがなくなりました。パッティング前にピンを立てておくか、抜くのかプレーヤーが選択することが可能です。
その選択をパッティング前に宣言する必要があります。宣言と違う行為をすることはできません。立てる選択をした場合にはパッティング後、途中でピンが邪魔になりそうだからといってピンを抜くことはできないので注意が必要です。
パッティングラインを手やパターで触れてもOK
これまでのルールではパッティングラインに触れただけで2打罰が科せられていました。しかし、新ルールではボールの転がりに影響がなければパッティングラインに触れても無罰になりました。
これによってラインを示すために手やパターでグリーン面を触れることが可能になります。当然ながら、ボールの転がりに影響が出るようにグリーン面を改善することは許されていないので注意が必要です。
スパイクマークなどグリーン上の損傷箇所を修復できる
これまでのルールではグリーン上ではルースインペディメントであれば取り除くことができました。しかし、パッティングライン上のボールマーク(ボールが落下した時に出来るへこみ)やスパイクマーク(スパイクによって出来る傷)などの損傷箇所を修復した場合には2打罰が科せられていたのです。
新ルールではこの行為が問題なくなったので、パッティングライン上であってもボールマーク、スパイクマークなどの損傷箇所の修復が可能になります。この新ルールによって損傷箇所でボールがはねてしまい、カップインできないということがなくなるため、パッティングライン上の損傷箇所はしっかりと修復してパッティングを行ないましょう。
不意にボールを動かしてしまってもペナルティーなし
これまでのルールではリプレース後にボールを動かした場合には1打罰が科せられていました。しかし、新ルールではボールが風などによって自然に動いてしまったり、プレーヤーやキャディーが携帯品をうっかり落としてしまいボールを動かしたりした場合でも無罰で元の位置にリプレースすることが可能です。
風や雨、傾斜など自然の力で動いてしまったボールはリプレース前であればボールが止まった位置からプレー、リプレース後であれば元の位置にリプレースしてプレーという形になります。
OBした付近から前進2打罰で打てる(ローカルルール)
公式戦には採用されませんが、ローカルルールとして前進2打罰が採用されました。
今まではOBした場合は1打罰で打ち直しをしていましたが、OBした付近から前進して2打罰で打てるようになったのです。友人と回っているときによくある「この辺から打っていいよ」が、認められたということですね。
参考文献:R&A USGAのゴルフ規則2019